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ICP-OESとICP-MSの使い分けは?

ICP-OES及びICP-MSとは湿式の分析手法で、液体試料については直接分析出来ますが、固体試料の場合は一度分解や抽出により水溶液化する必要があります。溶液化された試料をネブライザーで霧化し、誘導結合プラズマという現象を利用して試料をプラズマ化させるという分析原理までは共通しています。
ICP-OESの場合は、プラズマ内で励起された元素から放出される光の波長と強度から各元素の濃度を評価します。一方ICP-MSは、プラズマ内でイオン化された各元素を電場や磁場を用いて分離する事で各元素の濃度を評価します。

同じ分析原理を持つこれらの手法を比較し、それぞれの長所と短所を紹介します。

(1)各ICPで測定できる元素

固体試料をICPで測定する場合、硝酸や塩酸などを用いて溶液化する必要があるので、ハロゲン系の測定は一般的には難しいと言われています。また、液体にならない希ガス元素や大気成分の測定も出来ません。

■ ICP-OES及びICP/MSの一般的な検出下限値紹介 (BR023)

http://www.eag.com/documents/icp-oes-ms-detection-limit-guidance-BR023.pdf

ICP-OES及びICP/MSの一般的な検出下限値紹介 (BR023)

(2)ICPの検出範囲

ICP-OESは一般的にppmからwt%の範囲での測定を得意としておりますので、微量不純物というよりは主要構成元素評価に適した手法であるという事が出来ます。
ICP-MSは、溶液化工程の無い水溶液試料ですと前処理中の汚染などの影響を受けないためpptレベルにまで到達が可能です。しかし、特に固体試料の測定において、試料内に高濃度で存在する元素の測定に対しては、感度が良いために逆に元素ごとの希釈誤差が大きくなるという問題が出てきます。

例えば合金材料の主要構成元素の組成評価を目的とする場合、主要構成元素評価により適しているICP-OESをお薦めします。
一方、試料中の不純物の定性評価を目的とする場合は、より検出下限値の良いICP-MSの方をお薦めします。

■ バルク分析手法の検出下限値一覧表
バルク分析手法の検出下限値一覧表

ICP-OESとICP-MSのまとめ

ICP-OESの長所

  • プラズマからの光を観測するため高濃度で存在している元素でも安定した測定が可能

ICP-OESの短所

  • 同位体分析が出来ない
  • 分光干渉があるので、バックグラウンド補正や検量線による干渉補正が必要

ICP-MSの長所

  • 検出下限値が良い(水溶液の場合pptレベルまで測定が可能)
  • 質量分析なので同位体分析が出来る

ICP-MSの短所

  • 原子量が80以下の元素は、Ar及び主成分由来の分子イオンの質量干渉を受けやすい

ICP*共通の短所

  • 固体試料である場合、溶液化する必要がある
  • 固体試料の分解・希釈により分析精度が大きく左右される
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