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深さ方向分析ツールの使い分け

深さ方向分析ができる分析手法は、SIMS、AES、XPS、TOF-SIMS、RBS、GDMSなどがあります。主に、スパッタを利用或いは併用して、深さ方向分析を取得します。SIMSは、スパッタを応用した手法なので、信号の検出を深さ方向へ連続に行います。 AES, XPS及びTOF-SIMSでは、検出モードだけでは深さ測定は不可で、検出とスパッタを交互併用し深さ方向測定を構築します。RBSは弾性散乱された原子のエネルギー損失から深さ情報を得られるので、スパッタなしで深さ情報を取得できます。
SIMSは、数nm~数10μmと対応深さは大きく、極薄膜から厚膜まで応用可能で、主にドーパントや不純物の分布測定に適しています。AES、 XPSはスパッタレートが大きくないので、μmを超える測定には向きませんが、主成分元素の分布、酸化層、層間拡散などに適しています。TOF-SIMSは有機物の深さ分布や無機物質の場合には不特定成分の定性を行いながらの深さ測定に適しています。AES, XPS, TOFは、スパッタ時間と検出モード時間の総和が測定時間になる点は考慮に入れておくべき事柄です。
GDMSは、原理上、SIMSと同様にスパッタを利用して測定しているので、深さに対して測定を行うことが可能ですが、主に平均濃度を測定する手法として利用されます。けれども、データを深さに対して取得・プロットすることで、厚膜や金属膜などの深さ方向分析に応用されます。

一口に深さ方向分析といっても、各手法の脱出深さ、深さ分解能、分析できる面積、取得する情報等が異なりますので、適した手法を選択するには、分析の目的と材料構成などの事前情報が必要となります。

各種深さ方向分析ツールの比較

手法 スパッタリング 適した目的 不適切な材料・試料 注意点
SIMS 利用
(一次イオン(O2、Cs))
  • ドーパントの深さ分布、拡散
  • 不純物の深さ方向分布
  • 半導体多層膜の組成構造
  • 水素などの軽元素深さ方向測定
  • 表面凹凸が大な材料。
  • チャージ補正ができない材料。
  • ヘテロ界面の分布では、解釈が難しいこともある。
  • 一次イオン種により分布が変化することもある。
AES 併用
(Ar)
  • 金属の成分分布(C, Oなど)
  • 多層膜の主成分組成深さ測定
  • 層の相互拡散
  • 微小領域(10μm以下)の測定
  • 絶縁物
  • 膜厚が10-20nm以下の膜
  • 感度(約1at%)を考慮。
XPS 併用
(Ar、C60
  • 絶縁膜の成分の深さ分布
  • 多層膜の主成分組成深さ測定
  • 層の相互拡散
  • 膜厚が10-20nm以下の膜*
    (*試料角度可変で可)
  • 感度(約1at%)を考慮。
TOF-SIMS 併用
(Arクラスター、O2、Cs、Arなど)
  • 有機物・高分子材料の深さ分析
  • 無機膜(半導体・ガラス等の絶縁物)の定性深さ分析
  • 界面の定性測定
  • 表面凹凸が大きい材料
  • スパッタ銃の選択には注意が必要。
RBS 不要
  • 膜の組成分布
  • 薄い膜
  • 基板が重元素の場合
  • 界面の分布
  • 深さ分解能(5-10nm)を考慮。
GDMS 利用
(グロー放電プラズマスパッタ
  • 厚膜(>10μm)の測定
  • 多くの元素の半定量深さ方向測定
  • 薄い膜(<1μm)
  • H,C, O, N等の測定
  • クレータ形状の制御が難しい。(分解能がよくない)
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