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XPSでは化学結合情報が得られます

XPSはESCA(Electron Spectroscopy for Chemical Analysis :化学分析のための電子分光法)とも呼ばれ、最大の特徴は測定された結合(束縛)エネルギーのシフト(化学シフト)から化学状態が推定できることです。元素は近接原子との結合状態や原子の価数によってその結合エネルギーが僅かに異なります。例えばC1sとして表記されるCの1s軌道のエネルギーピーク位置は、C-OよりC=O の結合の方がエネルギーシフト量は大きくなります。炭素より電気陰性度の大きい酸素に電子を奪われるため炭素は正に帯電します。さらに二重結合の方がより正に帯電します。より正に帯電した炭素原子から電子を取り出すためには、余計のエネルギーが必要になりますので、結合エネルギー位置は高エネルギー側に少しシフトします。XPSでは、このような化学シフトから化学状態に関する情報が得られます。以下にいくつかの分析事例を紹介します。

カーボンの化学状態(C1sの結合エネルギーのシフト(化学シフト))

カーボンの化学状態の図

ポリエチレンテレフタレート(PET)のXPSスペクトル)

■ ワイドスキャン分析(定性分析)

表面に存在する元素(C,O)の特定と定量

■ ナロースキャン分析(高分解能分析)

C1sのピーク位置のシフトからCの結合状態がわかります。

コンタクトレンズの添加物の分析

Lens Material C N O
HEMA lens 69.1 0.0 30.9
HEMA + PVP lens 78.5 2.5 19.0
HEMA(theory) 66.7 0.0 33.3
PVP(THEORY) 75.0 12.5 12.5
■ HEMA系コンタクトレンズのスペクトル
HEMA系コンタクトレンズのスペクトル
■ HEMA + PVP 系コンタクトレンズのスペクトル
HEMA + PVP 系コンタクトレンズのスペクトル
■ pHEMA レンズのC1sの高分解能スペクトルのカーブフィット

C-O : COO が 2:1であることがわかります。
 

pHEMA レンズのC1sの高分解能スペクトルのカーブフィット
■ pHEMA-PVP レンズのC1sの高分解能スペクトルのカーブフィット

287.4 eVにPVPに起因する O=C-N の存在が確認できます。

pHEMA-PVP レンズのC1sの高分解能スペクトルのカーブフィット

シリコンの化学状態(Si2pの結合エネルギーのシフト(化学シフト))

シリコンの化学状態の図

SiC ナノパウダーの分析

■ ワイドスキャン分析による定性分析

各元素の存在比率がわかります。

■ ナロースキャン分析による化学状態分析

Si2pスペクトルから、SiC,SiO2の状態とそれらの比率がわかります。

SiC ナノパウダーの分析の図
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