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TOF-SIMSは試料取り扱いに注意が必要です。

「表面」を測定する全ての手法にとって、試料の取り扱いは重要ですが、特に、TOF-SIMSにとっては、試料の取り扱いによって測定対象を変化させて間違った結果が導かれる可能性があります。それはなぜでしょう?

これは、二次イオンの脱出深さ(情報深さ)が非常に浅いことに起因します。少ないイオンビーム量で試料表面に照射してもスパッタリングのような大きな破壊は起こらず、分子の脱離のような現象が起こり、二次イオン放出に繋がります。つまり、最表面に位置する原子や分子のみしか真空中に放出されないということになります。そのため、試料の取り扱い(前処理、切断、保管方法、輸送方法など)を誤ると、汚染を誘発し、測定対象の信号が汚染によって埋もれてしまう可能性があります。

さて、これらの表面汚染は物質の同定に影響を与えるだけでなく、物質の面内分布を見る場合にも表面汚染は大きく影響を与えます。汚染物質は一般的には対象物質と異なるので、TOF-SIMSの特徴である質量高分解能条件によって汚染からの信号と対象物質の信号を分離できるのではないかと、考えるかもしれません。しかしながら、これも分布などを測定する上で問題となります。TOF-SIMSでは、質量分解能と空間分解能の両方を同時に最適化することは原理上、困難です。(これについては、今後豆知識で取り上げる予定です。)装置の原理上、質量分解能をあげると、空間分解能は低下し、逆に空間分解能をあげると、質量分解能が低下します。そのため、面内の分布を知りたい場合、試料取り扱いによって汚染が表面に存在してしまうと、測定対象となる信号の微細な位置情報や面内分布情報と、ハイドロカーボンなどの汚染の信号を分離できず、面内情報が不鮮明になり、間違った解釈をする可能性があります。

空気中を搬送する限り、空気環境からの吸着汚染、特に、ハイドロカーボンは避けられません。しかし、正しい試料取り扱いをすれば吸着の汚染を最小限にでき、得たい情報を正しく検出することができます。 また、最新のアルゴンクラスターイオン照射を応用することで、表面のハイドロカーボンのみをスパッタ除去して、その下に存在する試料本来の情報をより鮮明に検出できると期待できます。

情報深さと試料取り扱いの詳細については、弊社ホームページ、一般的な豆知識をご参考下さい。
http://www.nanoscience.co.jp/knowledge/contents01/knowledge01.html
http://www.nanoscience.co.jp/knowledge/contents01/knowledge02.html

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