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TEMとSTEMの違い(使い分けについて)

ときどきお客様に、TEMとSTEMはどのように使い分けるのですか、と尋ねられることがあります。それでは実際のところ、各々どのような場合に用いると良いのでしょうか? それは両者の特徴を考えると分かってきます。TEMは基本的に回折コントラスト(散乱コントラスト)が像に大きく寄与します。STEMは、HAADF像(Z(原子番号)コントラスト像)が得られる特徴があり、組成情報を反映した像が得られます。HAADF像は散乱された電子線で結像すること自体はTEMと似ているわけですが、TEMのように特定の方向ではなく、ドーナツ型の検出器を用いますので、360°ぐるりと散乱した電子を取り込むことができます。そのため回折コントラストの影響はかなり弱められ、STEMでは組成のコントラストが強くなります。このことから考えると、TEMは試料の結晶性に関する情報を主に得たい場合に、STEMは試料からその組成に関する情報を得たい場合に用いると良いことが分かります。

サファイア基板上のGaN膜の観察例(同一試料をTEMとSTEMで観察)

TEM像 HAADF像
図1a:TEM像 図1b:HAADF像 (Zコントラスト像)

図1aでは、界面に存在するひずみによるコントラストや、欠陥の様子が良く分かる一方、基板とGaN膜自体では明確にはコントラストの差は認識できません。一方図1bにおいては、図1aで見られた欠陥、基板界面のひずみといった回折コントラストに起因するコントラストはほとんど見られていません。その代わり、基板とGaN膜そのもののといった組成の違いによるコントラスト差ははっきりついているのが分かります。このことからもわかるように、TEMは回折コントラスト(結晶に起因)に関係する像を見たい場合(例.欠陥評価、電子線回折測定、グレインサイズの評価、etc)に向いており、STEMは、組成に起因するコントラストに関係する像を見たい場合、(例、化合物半導体の積層構造の確認など)に用いると有効であることが分かります。また、STEMは電子線プローブを走査できることから、EDS,EELSといった面分析を行えること、TEMに比べると比較的TEM試料厚さが厚くても像の確認ができることから、故障解析などで、TEM試料を少し厚めにして作製し(内部に異常部を挟み込むように)観察するようなケースにも多く利用可能です。参考としまして、下記にTEMとSTEMの光学系を示します。

TEMとSTEMの光学系
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