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SIMSの検出下限は何で決まるか?

SIMS分析では、分析対象元素や材料にも依存しますが、最適なイオンビーム(酸素 またはセシウム)を選択することによって各元素のイオン化効率を高めることが出来るため、ほぼすべての元素についてppm~ppbレベルの濃度測定を行う事が可能です。元素の種類によって検出下限を決める要因が異なり、主要因として下記4つの項目が考えられます。

(1)イオンカウントレートによる限界

発生したイオンについて、検出器のノイズレベル、もしくはゼロカウントになるまで検出できる元素がこの項目に相当します。イオンカウントレートの限界で検出下限が決まる元素は、概してより低濃度まで検出できる元素になります。例としては、Li, B, V ..などが挙げられます。なお、分析面積が狭くなると、検出できるイオンの数(カウントレート)が減りますので、本来の検出下限が悪化(上昇)します。これもイオンカウントレートの制限によるものです。

(2)装置バックグランドによる限界

装置内の残留ガス成分元素(H, C, N, O)、又は装置内に残存する汚染元素成分 (Na, Al, Cl etc… )は、イオン強度がゼロレベルまで下がらずに、バックグランド信号を持ちます。これらの元素はこのバックグランド信号が検出下限値となります。そのため、SIMS分析では超高真空下で分析が行われます。

(3)質量妨害元素による限界

分析する元素と同じ質量の妨害元素の影響を受ける場合がこの項目に相当します。
例えば、Si中の分析では、質量妨害の影響を受ける元素としてFeやPなどがよく知られています。
Si中のFeの分析では、56Feと同じ質量のSiの分子イオン(28Si+28Si)が妨害元素になります。また、31Pの分析では装置に残留するHと30Siの組み合わせによる(1H+30Si)が妨害元素になります。
そのため、高感度にFeやPを分析するためには、少数点以下の僅かな質量の違いを分離することができる高質量分解能の条件で分析が行われます。

(4)検出器のダイナミックレンジによる限界

SIMS分析に用いられているエレクトロマルチプライヤ検出器のダイナミックレンジの制約により検出下限値が決められます。検出器は約 6桁程度のレンジで測定が可能なため、例えば1E20 atoms/cm3のAlを検出した場合の検出下限値は、1E14 atoms/cm3となります。Al本来の検出下限値は1E13 atoms/cm3であるため、検出器の制約により検出下限値が高くなります。そのため、1e13レベル真で分析するためには、高濃度領域と低濃度領域を分けて分析する必要があります。

このように、複数の要因から検出下限が決まりますので、検出下限を重視する場合は、着目元素に応じて最適な分析条件を設定する必要があります。

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