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分析中に分布が変化するガラス中のアルカリ金属分析

SIMSで絶縁物試料の分析を行う場合は、一次イオン(O2+やCs+)照射による試料表面のチャージアップを補正する必要があります。一次イオン照射により、試料表面からは、分析に用いる二次イオン以外に中性粒子や二次電子が放出されます。そのため、一次イオンによる電荷の蓄積と電子の放出により、試料表面は正に帯電し、一次イオンビームの照射位置や、二次イオンの放出エネルギーが変化し正確な測定ができません。また、チャージアップの影響により、試料の表面電位が変化することで膜中に電場が生じます。その結果、絶縁物中のLiやNaといったアルカリ金属は、分析中に移動してしまうことが知られています。
正しい分析を行うためには、この試料表面の電荷の蓄積を補償する方法として、SIMS分析の一次イオンビームと同時に電子ビームを照射する方法が使われています。ここで重要なポイントは、帯電量を適切に補償することです。電子線を照射し、正に帯電した試料表面に電子を供給するだけでは、試料内部に電場が残存するため、LiやNaは試料内を拡散してしまいます。
下記で、Si基板上のSiO2中にNaのイオン注入を行った試料を様々なチャージアップ補正条件で分析を行い、Naの分布が変化している様子を紹介します。
EAGでは、絶縁物に適切なチャージアップ補正を行うことで、ガラス材料中のアルカリ金属元素(Li、Na、K)等のより正確な深さ方向分を測定することが可能です。化学強化ガラスのSIMSデータを、リンクページでご紹介しておりますので、ご参照下さい。

電子線照射によるチャージアップ補正について

試料表面の一次イオン照射部分に電子ビームを照射することで、正に帯電した試料の表面電荷の蓄積を補償します。

電子線照射によるチャージアップ補正について

SiO2膜中のNa深さ方向分布分析事例

下の図に酸化膜中にNaを1E14 atoms/cm2イオン注入した試料について、5種類のチャージアップ補正条件で分析を行った深さ方向分布を示します。チャージ補正条件が適切でない場合、NaはSiO2/Si基板界面側に分析中に拡散し、イオン注入による分布と界面側の2つのピークに分かれる様子が分かります。
また、適切なチャージ補正を行うことで、界面側へのNaの拡散を抑制することができます。

SiO2膜中のNa深さ方向分布分析事例
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