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磁場型SIMSと四重極型SIMSの違いって何?

SIMSは、試料にイオンを照射しスパッタリングを行う「一次イオン光学系」、「試料ステージ」、スパッタリングにより試料表面より放出された二次イオンを検出する「二次イオン光学系」により構成されています。二次イオン光学系には、「二重収束型質量分析計」、「四重極型質量分析計」が主に用いられています。前者の質量分離方法を用いたSIMSを「磁場型SIMS」、もしくは分析計の形から、「セクタ(扇)型SIMS」、後者を「四重極型SIMS」、もしくは「Q-pole SIMS」と呼ばれています。
その他の質量分離方法として、飛行時間型の質量分析器を用いたTOF-SIMSがあります。TOF-SIMSの特徴については、『SIMSとTOF-SIMSの違いは?(ダイナミックSIMSとスタティックSIMS)』の項目をご参照下さい。

磁場型SIMSの主な特徴は、高質量分解能測定、高感度測定が可能なことです。しかし、検出器に磁場を用いるため、目的の元素に対して磁場強度を安定させる時間が必要となります。そのため、分析元素数を数個に絞り込む制約があります。
一方、四重極型SIMSでは、検出機の四重極管に高周波電場を加えて質量を分離する事から、目的の元素に対して、スイッチングスピードの早いため、多くの種類の元素を分析することが可能です。また、試料ステージがグランド電位であるため、一次イオンの照射エネルギーを下げることで、表層より数十nm程度の深さ方向分布を調べることが可能です。

下表に磁場型SIMS、四重極型SIMSの特長をまとめております。EAGでは、それぞれの装置を分析材料に応じて、さらに最適化するために26台の磁場型SIMSと18台の四重極型SIMSを使用しております。各装置の構成につきましては、SIMS 分析紹介ページをご参考下さい。

■ 磁場型と四重極型SIMSの比較
質量
分析計
主な装置
メーカー
長所 短所
磁場型 Cameca
  • 高い装置透過率(〜40%)
  • 高質量分解能(M/△M 〜10,000)
  • 遅い質量切り替え速度
  • 低加速エネルギーは試料電圧の大きさで制限
四重極型 PHI
Cameca
(Atomika)
  • 低加速エネルギー(数keV~100 eV)
  • 速い質量切り替え速度(測定データ点数の増加)
  • チャージアップ補正が容易
  • 低い質量分解能(M/△M 〜200)
  • 低い装置透過率 (〜1%)

磁場型SIMSによる分析事例

Si中にB、P、Asのイオン注入を行った試料の分析事例を下記に示します。
いずれの元素についても、高感度な測定が可能です。また、Pは質量数が31であるため、質量数30のSiとHにより形成される質量数31の妨害元素の影響を受けます。そのため、P分析では、磁場型SIMSを用いた高質量分解能モードで分析を行う必要があります。妨害元素につきましては、『質量妨害の影響って何』の項目をご参照下さい。

■ Si中へのイオン注入分布評価(通常分析)
Si中へのイオン注入分布評価(通常分析)

四重極型SIMSによる分析事例

下記にInGaAs/GaAs/InGaP等の多層構造試料中のドーパント及び不純物を分析した事例を示します。
化合物半導体デバイスでは、薄膜多層構造中の濃度分布を調べる必要があるため、多くの元素を同時に測定できる四重極型SIMSが有用です。

■ III-V多層構造プロファイル
III-V多層構造プロファイル
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