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マトリクス効果って何?

SIMSはイオンビーム(一次イオン)を連続的に照射しながら、スパッタリング作用によって放出されたイオン(二次イオン)を検出する方法ですが、二次イオンの強度は、材料(マトリクス)の種類や組成の違いの影響を受けます。このことをマトリクス効果と呼びます。

イオンビームには高感度を得る為に化学的に活性なイオンビーム(O2+; Cs+)が使用されます。マトリクス効果が生じる理由は、材料によってイオン化率やスパッタ収率が異なるためです。イオン化率は、試料表面に注入された酸素濃度、セシウム濃度の概ね2-3乗に比例しますので、わずかなスパッタ収率の変化でも強度が変わります。SIMSはマトリクス効果の影響を受ける手法ですので、正確な定量を行うためには分析試料と同じ組成の標準試料が用いられます。

なお、EAGでは表面酸化膜(SiO2)を含むSi基板の最表面近傍のドーパント分布や組成の異なる化合物半導体多層膜などでは、マトリクス効果の補正によって、より正確な深さ方向分布を得る手法(PCOR-SIMS)を開発しました。

AlGaAs/GaAs基板中のC深さ方向濃度分布のマトリクス効果

図はAl0.8Ga0.2As/GaAs基板中のCのイオン注入分布について1)GaAs標準試料だけを用いた場合(実線)、2) GaAs標準試料とAl0.8Ga0.2As標準試料を用いた場合(破線)の2通りの方法で C濃度を示したものです。1)の場合には、マトリクス効果の影響によって、AlGaAs中では本来の濃度より低い濃度で表示されていることがわかります。異種材料の積層膜の場合、通常は1つの標準試料から定量されていますので、標準試料と異なる材料(組成)では濃度が不正確です。データを見るときには、どの材料の標準試料で定量されたものか注意する必要があります。標準試料と異なる材料でも、同じ材料における試料間比較であれば、定量基準が同じですので相対比較の精度は変わりません。実用分析上は、異種材料多層膜のすべての層を正確に定量することは困難ですので、1つの標準試料を基準に試料間の相対比較が行われることが圧倒的に多いです。

Al0.8Ga0.2As/Al0.8Ga0.2As/GaAs基板中Cのマトリクス効果の図
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