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“バックサイドSIMS” って何?

”バックサイドSIMS” は試料の裏面側からのアプローチによって試料表面付近の分析を行う手法のことで”裏面SIMS”とも呼ばれます。SIMS分野の造語です。
SIMS分析では、普通は試料表面からイオンビームを照射して着目不純物の深さ分布を調べますが、試料表面近傍について、敢えて試料裏面から分析を行いますので、事前に試料の研磨加工が必要になります。表面側を別基板に貼り付け、裏面側を研磨加工することにより、試料をSIMSで分析できる程度まで薄片化します。分析目的に依りますが、Si基板などではもともと数百um程度の厚さのあった基板を1um程度まで薄片化します。

裏面側から分析するメリットは、表面側から分析する際に受けるイオンビームエネルギーによる表面原子の押し込み効果(イオンビームミキシングによるノックオン効果))の影響を消せることです。例えば、金属/電極/半導体基板構造における金属成分の半導体中への拡散を調べる場合、金属電極表面からの分析では、金属電極をスパッタしますので、半導体層に到達してもノックオン効果の影響により、本来存在しないはずの金属電極成分が見かけ上多量に検出されます。裏面側からの分析では、金属電極がもともと存在しませんので、半導体中に金属電極成分が存在しなければ、金電極に到達するまで金属成分は検出されません。そのため半導体中の正確な評価を行うことが可能になります。

また、表面に金属膜(金属電極)が存在する場合は、イオンビーム照射によって金属表面に凹凸が形成され、深さ方向分解能が悪化する問題が生じます。そのために金属膜が試料表面に形成された状態では、金属膜の下に存在する半導体層の正確な評価が困難になります。金属膜を除去できない場合は、やはりバックサイドSIMSが有効な手段になります。

下図の事例は、バックサイドSIMSによりCu/SiO2/Si基板構造におけるSiO2中へのCuの拡散を評価したものです。研磨によって薄片化したSi基板を、研磨表面からCu電極に向かって分析しています。この結果からSiO2中にCuが拡散している様子がわかります。普通に表面(Cu電極側)からSiO2層の評価を行うと、もともとCuが表面に存在しますので、SiO2層にCuが存在しなくても、イオンビームのエネルギーによってCuがSiO2中に押し込まれ、SiO2に裾を引く分布になります。それにスパッタリングによるCu表面の凹凸の影響も加わりますので、SiO2中にCuが存在しなくても、SiO2中にCuが大きく裾を引いた分布となり、Cu電極がついた状態では表面側から評価することができません。

このように表面側に高濃度層が存在する際に、その下層中における同じ成分元素の存在の有無やその分布ついて調べる場合にバックサイドSIMSは有効な方法です。

なお、バックサイドSIMSは試料の研磨加工ができなければ成り立たない手法です。
EAGでは様々な試料研磨加工技術を蓄積しています。

■ バックサイドSIMS

高濃度層の成分が、その下の層に拡散しているかどうかを調べる場合、イオンビームミキシング効果、特にノックオン効果の影響を受けるので正確な評価が困難である。そのような場合、試料の反対側から分析するバックサイドSIMSが有効である。

バックサイドSIMS
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