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今、進化しているCL測定

CLの名前にはちょっと不思議なところがあります。弊社で提供している多くの分析手法ではSIMS、TEM、GD-MS、XPS、EBSDといった略語と対応して、「二次イオン質量分析法」などの日本語の正式名称があります。しかし、CLは「カソードルミネッセンス法」と呼ばれ日本語名称が無いのです。古くからある手法なのになぜでしょうか。これは、CLは分析手法としては知っているけれどもあまり身近なものでなかった為かもしれません。最近、装置の進歩によりCLで得られるデータが変わってきています。そんな古くて新しい手法の現状について紹介したいと思います。

CL(カソードルミネッセンス法)を日本語訳すると、「冷陰極発光法」でしょうか。この名前はCRT(冷陰極管)を連想させます。実際、CLについて文献を調べると、CRTの技術に関する古い文献がかなり混ざります。発光デバイスを目的としているか分析を目的としているかで違いますが共通性の高い技術です。名称上の混乱があるにも関わらず整理されて来なかったのは、CLがマイナーな手法だったからでしょう。分析手法的に命名すると、「電子線誘起発光(分光)法」でしょうか。略語でEBIL, EBIE, EBIES, EBIS・・・、邪悪そうなものから御目出度そうなものまでいろいろあり得ますね。海外文献でも、CLを勝手な名称で呼んでいるものが散見されますので、混乱気味です。
古い分析手法であるCLですが、発光の起源を説明するためには、材料に関する事前の知識が必要で、このことがCLをマイナーにしていたのではないかと思います。

■ 従来のCLの使われ方
従来のCLの使われ方

しかし、最近は①ハイパースペクトル測定でスペクトルの分布状態が表現できるようになった、②高感度で電子線照射量を減らした低ダメージ測定ができるようにり測定対象が広がってきた、③試料冷却ステージが実用的に使えるようになってきた、といった測定技術・装置の進歩が著しく、これが、今後のCLの使われ方を変えていくと考えています。目的を絞った分析しかできなかったものが、特性の分布をハイパースペクトル測定することによい未知の試料に関して有効性になってきています。

■ 今後のCLの使われ方
今後のCLの使われ方

ハイパースペクトル測定の有効性を下のデータから説明してみます。データは基板上のAlGaN積層構造の発光を断面から測定したものです。上の図は、各測定点のスペクトルのピークの波長で色分けて表現した図、下の図はピークの半値幅の分布を表現した図です。ピーク波長はAlの組成によって決まります。80%Alの層や60%Alの層では上の図で均一な色に見えていることから、組成が均一であることが分かります。20%Alの層は色味が微妙にばらついています。これはAlの組成比が揺らいでいることを示しています。ピークの半値幅は結晶の歪によって変化しますので、下の図から、Al組成比の揺らぎに起因して歪んだ状態が分布していることが分かります。未知材料であっても、ピーク波長の揺らぎや歪についての類似した評価は十分可能です(もちろん発光すればですが)。

図

従来のCL測定では、ある特定の波長の強度をマッピングするか、特定の点の発光スペクトルを収集することしかできませんでした。マッピングでは各波長の強度マップを個別に取得する必要がありました。このデータでは3回の測定が必要で、20%Alの揺らぎは強度ムラとしてしか見えません。スペクトル形状の分布を表現するなど、望むべくもありませんでしたので、組成の揺らぎや歪分布といった測定はできませんでした。そういった状況に比べるとハイパースペクトル測定によりCLの表現力が各段に進歩していることがご理解いただけるかと思います。
CLはよく知られた古い手法ですので、出来ることが限られているという先入観があります。しかしながら技術進歩により、現在分析法としてのブレークスルーが起きていると考えています。是非とも応用事例にご興味を持っていいただきたく思います。

関連ページ:CL法

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