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RBSでは結晶性の評価も可能です

■ イオンチャネリングプロセス

結晶は周期的に原子が配置された単位格子によって形成されています。そこで、結晶軸に平行な方向からMeVに加速された高エネルギーイオンを入射すると、結晶の対称性により散乱に寄与する原子数が少なるため、後方散乱強度は低くなります。この結晶軸に沿って固体中をイオンが進む現象を「イオンチャネリング」と呼びます。

チャネリング条件で入射したイオンは、結晶中の格子間原子や不純物原子、欠陥等により散乱されるため、後方側への散乱強度は変位原子などの量に依存して高くなります。

このように、チャネリング条件で入射したイオンの後方散乱量を試料間で比較することで、結晶性の評価を行うことが可能となります。

下図にイオンの散乱プロセスとRBSスペクトルを示します。試料に入射したイオンは、表面原子から散乱の影響を受けます。結晶内に進入したイオンは、格子間原子、不純物原子により散乱されます。チャネリング条件で入射したイオンは、格子位置原子に近づくことが無いため後方散乱は生じません。しかし、結晶内をイオンが進むにつれて、結晶内電子による多重散乱の影響を受けチャネリング条件から外れ(デチャンネリング)、広角散乱を起こし、やがて後方側へ散乱されます。

RBSを用いた結晶性の評価は、高エネルギーイオンを結晶軸に沿って入射すると条件(チャネリング条件)と試料回転による結晶性に依存しない条件(ランダム条件)とを比較することで行います。チャネリング方向(アライン方向とも言います)で測定されたRBSスペクトルには、表面散乱の影響が含まれますので、表面散乱スペクトルを除いた最小値の強度(Ha)とランダムスペクトルの強度(Hr)の比(χmin)を求め、この値が試料間の結晶性比較に用いられます。

イオンチャネリングプロセス
■ Sbイオン注入によるSi基板のダメージ 分析例(アニール前)

Si基板中にSbをイオン注入した試料(アニール前)から得られたランダムスペクトル、チャネリングスペクトルを下記に示します。

Sbに対応するピーク位置のチャネリングスペクトルとランダムスペクトルの強度が変わらないことから、Sbは格子位置に殆ど存在しないことが分かります。

Sbイオン注入によるSi基板のダメージ 分析例(アニール前)
■ Sbイオン注入によるSi基板のダメージ 分析例(アニール後)

次に、上記試料にアニールを行なった後のランダムスペクトル、チャネリングスペクトルを下記に示します。Sbのチャネリングスペクトルは、アニール後に検出されていないことから、Sbは散乱に寄与しない結晶格子位置に置換されたことがわかります。また、Siのアニール前後のスペクトルを比較すると、アニール後のチャネリングスペクトル強度が低くなることから、結晶のみだれが回復している様子が分かります。

Sbイオン注入によるSi基板のダメージ 分析例(アニール後)
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