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RBS装置でも水素の分析が出来ます

RBS分析では、MeVの高エネルギー入射イオン(He+)を固体に照射するため、Heよりも軽い固体中の水素(H)は前方側に散乱されます。前方側にはHと同時にHeイオンも散乱されるため、アルミ箔等を検出器の前に置くことでHのみを分析することが可能です。この手法は、前方側へ散乱されるHを検出することから、HFS分析(Hydrogen Forward Scattering Spectrometry)と言います。

原理的には、入射するイオンより軽い標的原子は前方側へ反跳されるので、入射イオンを変えることで、H以外の軽元素分析が可能です。このような分析方法を包括的に、反跳粒子検出法(ERDA:Elastic Recoil Detection Analysis)と言います。ここでは、Heイオンを用いてHを分析するHFS分析について紹介します。

HFS分析では、Heイオンにより前方側へ散乱されたHのエネルギーとその収量を直接検出します。そのため、半導体、金属、絶縁物、ポリマー等様々な薄膜の分析が可能です。またRBS分析と同様に、入射イオンにより散乱されたHが固体中を進む時のエネルギー損出を精度よく求められるため、非破壊で絶対量の測定と深さ方向の分析が可能です。RBS分析の定量に標準試料は不要ですが、HFS分析では、Si中にHをイオン注入した試料と濃度既知の鉱物(白雲母)が標準試料として使われます。Hの検出下限は1at%程度です。試料は平坦なものが必要で、分析できる試料の大きさは10mm x 5mm以上です。検出できる深さは材料に依存しますが数百nm程度です。

HFS分析はRBS分析と同じ装置を用いて行われます。下図にHFS分析のレイアウトを示します。RBS分析では、試料に対して垂直方向からHeイオンを入射しますが、HFS分析では、試料表面に対して15度の方向から照射されます。HFS分析の検出器は、入射イオンビームの軌道線上を基準として30度の方向に配置されます。このように、Hを求めるHFS分析と組成を調べるRBS分析では、試料に対する入射角や検出器の最適な配置が異なるため、それぞれ別条件での測定が必要となります。

尚、H分析と同時に、後方に配置された160度の検出器によってHeイオンの電流量が測定され、試料に加えた電流量の規格化に使用されます。

■ HFS分析の検出器レイアウト
HFS分析の検出器レイアウト

Si基板上のSiN薄膜を分析したRBS、HFSスペクトルを下記に示します。 SiとNの濃度はRBSから、H濃度はHFSを用いてそれぞれ測定されます。理論モデルとそれぞれの測定スペクトル間に良い一致が得られるまでフィッテングが行われ、各元素の濃度が求められます。

■ SiN薄膜のRBS/HFS 分析例
SiN薄膜のRBS/HFS 分析例
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