分析豆知識

ホーム分析豆知識 > RBS/HFS分析の豆知識【RBSスペクトルの見方について】
お問い合わせ方法

RBSスペクトルの見方について

RBSスペクトルは、MeVの高エネルギーの入射イオン(He+)が固体中の原子核によって後方散乱されたときのエネルギーを横軸、その収量を縦軸として表示します。横軸が示す散乱エネルギーには、元素の種類と深さ情報が含まれます。 試料中の同じ深さに2種類以上の異なる質量の元素が存在すると、それぞれ異なるエネルギー値にカウントされます。また、同じ質量の元素でも深さ位置が異なると、異なるエネルギー値にカウントされます。縦軸の収量は、質量の重い元素ほど大きくなります。すなわち高感度です。しかしながら、重い元素ほど質量分解能が悪くなりますので、例えば、WとPtでは両者を区別することができません。

RBSは非破壊で組成分析ができる特徴がありますが、実際のRBSスペクトル(実験データ)と理論スペクトルのフィッティング解析から組成を決定しますので、事前に試料の情報(材料名(構成元素)、試料構造)がないと、理論スペクトル(試料構造を仮定したスペクトル)を描けないので解析が困難になります。例えば、材料がPtシリサイドなのかWシリサイドなのか、事前に材料名がわからないと組成を決定することができません。このように、RBSスペクトルの見方とその意味を知ることで、RBSから得られる情報の質を理解することができます。

各種元素の相対 散乱強度と散乱後のエネルギー

固体中のどのような元素から散乱されたかについては、エネルギーと運動量保存の法則から知ることができます。入射エネルギーE0で入射した粒子は、散乱によりK・E0のエネルギーで検出されます(K:散乱定数)。Kは衝突する対象原子に依存するため、散乱後のエネルギーを調べることで元素の同定が可能となります。

下図にHeイオンを2MeVで入射した場合の対象元素の違いによる散乱後のHeイオンのエネルギーと相対散乱強度を示します。重い元素ほど、入射イオンのエネルギー損出は少ないため、高エネルギー側に検出され、散乱強度も大きいことがわかります。

各種元素の相対 散乱強度と散乱後のエネルギー

エネルギー損失の原理

損出エネルギーは散乱が生じる深さに依存するため、同一元素からの散乱では、より深部で散乱されたイオンほど低エネルギー側から検出されます。入射イオンが材料中を通過する場合のエネルギー損出が含まれるためです。

■ 試料表面および内部での衝突について
試料表面および内部での衝突について

RBSデータの解説

■ Pt on Si data

Si基板上のPt薄膜を分析したRBSスペクトルを下記に示します。 PtはSiよりも質量が大きいため、散乱によるエネルギーの損出が少なく、高エネルギー側から検出されます。(図に示されているチャネルナンバーはエネルギーに対応しています)。

Si基板から散乱されたHeイオンのエネルギーは、Pt膜中でのエネルギー損出分が含まれているため、Ptがない場合のSi表面から散乱されたエネルギーよりも、さらに低エネルギー側から検出されていることがわかります。

補足となりますが、Si基板からの散乱強度が低チャネルになるほど上昇している理由は、図中の微分散乱断面積の式より、Heイオンのエネルギー損出の割合が大きくなるほど分母の値が小さくなるため、微分散乱断面積の値が大きくなり、深さ方向に均一の組成であっても、RBSスペクトル強度が増加していることが理解できます。

RBSデータの解説:Pt on Si data
■ SiO2 on Si data

次の図では、Si基板上のSiO2薄膜を分析した事例を示しています。

表層のSi、Oによって散乱されたHeイオンのエネルギー位置は、入射イオンのエネルギーと散乱角から決定され、スペクトル中のSi surface、O surfaceとして検出されます。

OはSiより質量が小さいので、SiO2中のOのスペクトルはSi基板のスペクトルに積算されて表示されます。

Si基板では、基板の内部から散乱されるほど収量が増えるので、Siの強度は一定にはならずに低エネルギーになるほど上昇していることがわかります。

RBSデータの解説:SiO2 on Si data
Pagetop
Copyrights (C) 2016 Nano Science Corporation. All Rights Reserved.プライバシーポリシー