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GDMS分析の盲点について

グロー放電質量分析(GDMS)はバルク分析を得意とした手法で不純物定性及び定量分析に非常に適しておりますが、オールマイティーな手法である印象を持たれがちです。分析内容や試料形状によっては他の手法で補完しなければならない場合がありますので、この手法の盲点と思われる項目についてご紹介します。

1)C, N 及 び O 測定には不向きです。

GDMS分析におきましては、試料をスパッタするのにアルゴンガスを使用します。アルゴンガス内に残留するC,N,Oの影響により、これらの元素のバックグランドレベルが悪くなります。また、グロー放電が生じる圧力下で分析しますので、これらの大気成分元素のバックグランドの影響を避けることができません。そのため、試料内に存在するであろうC,N,O量と装置内環境に存在するC,N,Oとを区分する事が難しいため測定には適しておりません。

なお、バルク試料のC,N,O(及びH)はIGA分析が適しています。
また、形状や目的によってはSIMSでより精度ある評価が可能です。

2)不定形試料及びセラックス材料の場合は、試料の固定・形状調整及び導電性確保のためにIn,Taを補助材料として使用します。そのため、InまたはTaは測定対象外になることがあります。

試料を直接分析する事が出来ない不定形試料の場合、試料を固定・形状調整するためにInやTa等の補助材料を併用します。そのため、InやTa元素の測定が出来なくなります。
また、絶縁性の高い材料を測定する場合は、導電性維持のためにTa二次電極を使用します。Ta二次電極にはFe, Cu, Nb, Mo, Wが極微量含まれているため、通常の分析に比べ、これらの元素のバックグラウンドレベルが悪化します。

また、例えば酸化物を測定する場合、二次電極として使用するTaの同位体のうち「Ta181」と試料の主成分である酸素の「O16」とが結合した「Ta181+O16」が「Au197」に対して質量妨害となり影響を及ぼします。

形状や材料にもよりますが、GDMSでInやTaが測定出来ない場合は、代わりにSIMSICP/MSを用いて濃度評価する事が可能です。

3)薄膜試料の場合は、基板の情報が混入しないようにするため、さらに表面汚染の影響を十分に除去するため、目安として5μm以上の膜厚が必要です。

薄膜分析では、プラズマに曝されている1cmΦ程度の広い領域から情報を検出しますので、深さ方向の分解能については議論する事が出来ません。そのため深さ方向分析にはあまり適していません。試料の導電性や表面状態・測定元素数にも大きく依存しますが、基板の情報の混入及び試料表面付着汚染の影響を避けるため、少なくとも5μm以上の膜厚を用意して頂いた方がより安全な測定が出来ます。

LA-ICP/MSですと深さ方向の分解能が約1um程度ですので、薄膜中のバルク分析が目的の場合はこちらの方が適している場合があります。

また、薄膜中で元素の数を絞った場合ですとSIMSが最適です。

4)高濃度含有されている元素の測定値は不確かです。

GDMSはppb~ppmレベルで存在する元素の定性及び定量分析に特化した分析手法ですので、評価できる濃度は最大千ppm程度です。

高濃度元素に対しては、主成分測定に適したICP-OESを用いる事でより精度のある値を得る事が可能です。

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