分析豆知識

ホーム分析豆知識 > GDMS分析の豆知識【高感度なバルク分析手法】
お問い合わせ方法

高感度なバルク分析手法 良い検出下限値に到達するための注意点ー

グロー放電質量分析(GDMS)では、バルク試料及び厚膜中に微量レベルで存在する元素の定性及び定量分析を行なう事が出来ます。SIMSのように予め分析元素を決める必要がないので、材料中に含まれるバルク不純物の種類と濃度を調べるのに最適な手法です。

GDMSは固体試料を測定する手法の中でSIMSに次いで高感度な分析手法ですが(バブルチャート参照)、到達可能な検出下限値は下記の要因のために悪化してしまう事があります。ですので、到達可能な検出下限値について、分析前のお打ち合わせやデータに対するご理解が重要となってきます。

GDMSの検出下限及びバックグラウンドレベルに影響を及ぼす要因

■ 試料の導電性を確保するために使用するバインダーや二次電極の影響

試料側を陰極、セル側を陽極とみなし、この2つの電極間に電位差をかけることによりプラズマを発生させます。導電性の低い一部半導体材料や絶縁材料はそのままの状態だとプラズマを作る事が出来ないため、Inをバインダーとして使用またはTaを二次電極として使用する事で導電性を確保します。
このInやTaを使用する事で測定自体は問題無く行なう事が出来るようになりますが、バックグラウンドレベルが影響を受け下限値を悪化させてしまう元素が出てきます。

例えば粉末試料の場合は直接測定する事が出来ませんので、試料をInのバインダーに埋め込む必要があります。埋め込む事により粒子とバインダーの間に空気成分が一緒に埋め込まれ、 スパッタされることにより脱ガスとして装置内のバックグラウンドレベルを悪化させてしまいます。
また、絶縁性が非常に高いセラミックス材料はInではなくTaの二次電極を用いて導電性を確保させます。例えば絶縁性の非常に高い酸化物を測定する場合はTaの二次電極を必ず用いますが、主成分である酸素と使用する二次電極のTaが結合した「16O+181Ta」がAuの「197」という同位体に質量妨害となり、Auの評価が出来なくなります。

■ 十分な大きさの試料形状、或は試料重量が準備できない場合

大面積で試料を表面から内部へとスパッタする分析手法なので、試料は分析中に徐々に消耗していきます。そのため、余裕のある大きさまたは量が無いと分析中に試料が消滅してしまい、充分な積算回数を得る事が出来ず精度の劣るデータになるだけでなく到達可能な検出下限値が悪化してしまいます。

例えば粉末試料ですと、測定に何か問題が生じた時に再測定等をすぐに行えると想定した上で少し余裕のある量(5-10g)をご提供頂けると助かります。
ワイヤー試料は非常に細いので全長で太さを補う必要があり、少なくとも50cm-1m以上の長さでご提供頂けると助かります。
箔状試料ですと分析内容によっては試料を貫通してしまう危険性があるので、少なくとも20cmx20cm程度以上の面積があった方が好ましいです。

■ 質量妨害元素の存在

質量分解能が約4000あるので多くの質量妨害を分離する事が出来ますが、放電に使用するArガスや主成分またはInやTaなどの補助材料による質量妨害の影響により、到達可能な下限値が悪化する事があります。

ここでは、放電ガスをArから別のガスへと変更する事で下限値が改善された元素の一例をご紹介します。

Ti試料中では、Ca,Rb,Sr,YはArや主要構成元素であるTiを原因とした質量妨害の影響を受けるため、他の元素よりも到達可能な検出下限値が悪くなっています。放電に使用するガスをNeやKrに変更する事によってAr起因の質量妨害が無くなりますので、より低い検出下限値に到達する事が出来ます。

放電ガスの種類の違いによるTi材材料中のCa,Rb,Sr,Yの検出下限の違い
  アルゴンガスの場合 ネオンまたはクリプトンガスの場合
Ca 0.2 ppm 0.05 ppm
Rb 5 ppm 0.01 ppm
Sr 3000 ppm 0.01 ppm
Y 200 ppm 0.01 ppm
Pagetop
Copyrights (C) 2016 Nano Science Corporation. All Rights Reserved.プライバシーポリシー