表面分析からこんなことがわかります

ホーム表面分析からこんなことがわかります > バックサイド(裏面)SIMSによるレーザーダイオードデバイス界面不純物の高精度プロファイル分析(AN387)

はじめに

SIMS分析には分析原理上発生してしまうSIMSアーティファクト(artifact)というものがあります。このSIMSアーティファクトには、イオンスパッタによる表面ラフネスの発生の影響で深さ方向分布を歪めるアーティファクトと、メモリー効果の影響で正しい濃度を得られないアーティファクトの2つがあります。バックサイドSIMSはこれらアーティファクトを発生させない分析方法として、広く使用されています。

本事例紹介では、バックサイドSIMSによってSIMSアーティファクトの1つである「メモリー効果」の影響を受けずにエピサブ界面の微量不純物評価を行った事例をご紹介いたします。

バックサイドSIMSによるレーザーダイオードのエピサブ界面汚染の正確な測定 (AN387)

半導体デバイス中の汚染の存在はデバイス性能へ悪影響を与えることが知られています。SIMS分析は材料解析評価のための分析ツールとして実績があります。しかし、分析試料の構造によっては、標準SIMS測定(フロントサイドからの測定)では、分析装置のメモリー効果によるアーティファクトの発生により、正確な濃度を得ることができない場合があります。

レーザーダイオード構造内のエピ/サブ界面でのインジウム(以下、In)汚染をバックサイドSIMSによって正確に調査した事例をご紹介します。分析結果(図2)は裏面研磨時の研磨深さ精度と最小限の表面ラフネス、および優れた平面コントロールを示しています。

SIMS分析はイオンスパッタリングによって放出された二次イオンを高感度に検出する手法ですが、高感度な手法であるが故に、スパッタリングされた材料がメモリー効果を発生させる場合があります。その結果、メモリー効果によって着目すべき元素のバックグランドが著しく上昇し、微量汚染を評価できなくなることがあります。

バックサイドSIMSは基板のバックサイドから着目の深さに至るまで研磨し、その後薄くなった基板を通して着目の半導体層をバックサイドからのプロファイリングすることによって、アーティファクトを回避します。

■ 図1 レーザーダイオードのフロントサイドから測定したIn深さ方向プロファイル
グラフ
■ 図2 レーザーダイオードのバックサイドから測定したIn深さ方向プロファイル
グラフ

2つの分析結果は、350μm厚のGaAs基板上にレーザーダイオードが成膜されている分析サンプルをフロントサイド側から測定した結果(図1)とバックサイド側から測定した結果(図2)を示しています。

バックサイド側からの測定では、350μm厚のGaAs基板は、GaAs基板とバッファー層の界面のにIn汚染が存在するかどうかを調査するために、基板の厚さが1.5μmに至るまで研磨しました。

図1はレーザーダイオードのフロントサイド側から測定したエピサブ界面のIn深さ方向プロファイルを示しています。GaAs基板中のInバックグランドの上昇は、表面エピ層中にInが主成分レベルで含まれていた層をスパッタした影響によるメモリー効果が原因です。

図2はバックサイドからエピサブ界面を測定したときの、In深さ方向プロファイルを示しています。深さ分解能は100Å/decade、そして、アーティファクトを回避しているため、Inに対して低バックグランドが実現されています。この結果からエピ/サブ界面に微量なIn汚染が存在していることがはっきりとわかります。

このバックサイドSIMSの分析結果は、基板の大部分を研磨で除去し、裏面側から測定することで、エピサブ界面の汚染を低バックグランド、且つ優れた分解能で分析できることを示しています。

● バックサイドSIMSの応用例

• Si基板上に化合物半導体を成膜したエピサブ界面の微量汚染の調査
• 表面に凹凸を形成したGaN系LED中の微量汚染の調査
• 半導体デバイスのメタル電極と半導体層界面の微量汚染の調査

● 分析豆知識:

“バックサイドSIMS” って何?

● 関連分析事例:

バックサイドSIMSによる応用例の紹介 (AN418)

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