表面分析からこんなことがわかります

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はじめに

今回は、XRDによるひずみ評価の事例を紹介いたします。XRDは一般には、未知の物質の評価(相同定)に使用されるケースが多いですが、高精度に面間隔を評価できることから、もともとの格子面間隔からのずれを評価することにより、ひずみに関しての情報を引き出すことができます。紹介させていただく事例は、Si中にイオン注入されたCが、格子位置に置換されることによるわずかなひずみを調べ、その置換量を決定することができる、というものです。この手法を用いれば、例えば3元系の化合物半導体の組成を調べる、といったこともXRDで可能です。

HR-XRDによるSiにおける格子位置カーボンの評価(AN460)

半導体技術における新たな技術として、シリコンへのカーボンをイオン注入することにより、シリコン格子において引っ張り応力発生させ、n-MOSFET半導体デバイスの性能を向上させるというものがあります。望ましい効果を生むために、炭素原子はシリコン格子において置換するための、代替原子である必要があります。

HR-XRDはこのような置換カーボンの割合を測定するのに用いることができ、またSIMSとの組み合わせにより、複雑な、多層カーボン濃度プロファイルを調べることも可能です。
ドーパントまたは不純物が置換型として一つの結晶格子に加えられるとき、格子はドーパント原子の存在によって歪ます。Si格子の場合、炭素原子がSi格子原子より小さいので、結果として、格子位置に炭素原子が存在することにより、引っ張り応力を生じます。
この応力はSi格子の間隔を変え、そして、間隔のこの違いをHR-XRDによって調べることが可能です。

下記の図に示されているのは、Si格子中に置換されたそれぞれ0.3%、0.6%および1.2% のCがドープされた厚さ30nmの層を持つSiウェハーからの理論的なHR-XRDのスキャンデータです。69.3度のピークはSi格子からのものであり、一方、より高い角度の幅広いピークは置換Cが存在するSi格子からの回折ピークを表します。炭素原子がSi原子より小さいので、格子は引っ張り応力の下にあり、そして、回折ピークは右にシフトします。
Cの量が増加すると、応力も増加し、XRDピークはより高い角度にシフトします。

グラフ

イオン注入とアニーリングの研究の一つの目標は、異なるイオン注入とアニール条件下におけるSi格子サイトに置換されたCの量を決定することです。SIMS分析は、試料中の全C濃度(置換および格子間の両方)を測定することができ、一方HR-XRDは置換されたCのみを測定します。HR-XRDによって得られたC濃度を、SIMSによって得られたC濃度で割ることにより、置換された全イオン注入Cの割合を簡単に計算することができます。
上記のケースは、Si中へのCのイオン注入を単純なシステムで理解しやすいようモデル化されたものです。PまたはAsのような、他のイオン注入種が加えられる場合はかなり複雑になります。
このような場合は、多層XRDシミュレーションが必要とされますが、EAGは、そのようなシミュレーションも提供することができます。しかし、XRDデータだけで正確にそのようなサンプルを説明するのに十分でない場合があり、そのような際には、SIMS、TEM、また電気特性データといったものが、XRDシミュレーションとの組み合わせに、必要となってきます。

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