表面分析からこんなことがわかります

ホーム表面分析からこんなことがわかります > SurfaceSIMSを用いた表層不純物のプロセス汚染評価(AN393)

はじめに

Surface SIMS.XP (サーフェス シムス)分析法によるSiウエハ表面のAl汚染分析の事例を紹介します。
Surface SIMS分析はEAG社が開発した分析法で、Siウエハ表面のNa, Al, K及びFe分析法として、ASTM規格として認証された分析法です(ASTM F1617)。

Siウエハ表面の重金属汚染はTXRFやVPD-ICPMS法で評価することが一般的ですが、TXRF分析では感度が不十分な元素(Na, Alなど)を、Surface SIMS分析では高感度で検出できる利点があります。Surface SIMS分析は基本的にはSIMS測定ですので、汚染の正確な面密度(atoms/cm2)に加えて 深さ情報に関する知見もある程度得られます。

しかしながら、評価できる分析面積は数百um程度となりますので、TXRFやVPD-ICPMS法のように広い面積を対象とした手法ではありません。また、1元素毎の分析になりますので、弊社ではTXRFやVPD-ICPMS法を補完する分析手法として受託サービスを行っています。

Surface SIMS.XP(サーフェスシムス.XP)によるプロセス工程を経たSiウエハ表面のAl汚染の評価

Siウエハ表面のAlや他の金属元素の汚染の除去、あるいは低減化はSiデバイス製造工程では必須の部分です。正確でかつ整合性のある分析結果を得るためには、適切な分析手法の選択が重要になります。本分析事例は、プロセス工程を経たSiウエハ表面のAl汚染の評価にSurface SIMS.XP(XP=extended profile )を使用した例を示し、Surface SIMS.XPの利点を紹介します。

Surface SIMSとは?

EAG社では、1990年代後半にSIMS分析によるSiウエハの表面汚染の分析法の開発を行い、「Surface SIMS」(サーフェイスシムス)としてサービスを始めました。

Surface SIMSはSiウエハ表面のNa, Al, KおよびFe汚染の測定方法としてASTM規格で認証された分析法です(ASTM F1617)。Surface SIMSの分析結果は、「汚染物質の面密度(atoms/cm2)」として報告されます。

ベアSiウエハの測定では、Surface SIMSは数十年間の測定を通じて、TOF-SIMS, VPD法のような他の表面金属汚染の測定法と相関のあるデータを提供してきました。

Surface SIMS.XP分析法について

Surface SIMS.XP分析法はSurface SIMS分析法を拡張させた分析法です。Surface SIMS.XP分析法の分析結果は、通常のダイナミックSIMSと同様な形式として報告されます。プロセス工程を経たウエハの分析では、表面汚染の面密度(atoms/cm2)の値だけでなく、Siとは違う材質のコーティング層(膜状残渣)の検出もできます。ただし、Surface SIMS.XPはスパッタを用いて分析する手法のため、分析元素によっては分析中に試料内部方向へ動いてしまい、深さ方向の知見が得られない場合もあります。

プロセス工程を経たウエハ表面に自然酸化膜以外の薄膜が残留する場合には、TOF-SIMSやVPD法は表面汚染測定に適していません。金属汚染が薄膜の下に存在するような場合には、これらの手法では正しい結果を得ることができません。TOF-SMSでは検出できる深さが浅すぎる問題があり、VPD法では不適切な化学抽出による回収率の低下によって正確な結果が得られないためです。一方で、Surface SIMS.XPは深さ方向分析手法なので、このような状況では有効な評価方法となり、多くのプロセス工程を経たウエハ表面の分析法に適した手法になります。

分析事例1:Surface SIMS.XPによるベアSi表面のAl汚染の調査

図1のSiの2次イオン強度は、Surface SIMS.XP(青色)と通常のダイナミックSIMS(緑色)のそれぞれの結果が示されています。ダイナミックSIMSで測定したSiの2次イオン強度の分布は表面非平衡領域(表面からSi強度が安定するまでの領域)に見られるように、Si基板表面の自然酸化膜の存在を示しています。

一方、Surface SIMS.XPから得られたSiの2次イオン強度は平坦なプロファイルで、酸素フラッド法(測定中に酸素ガスを照射する方法)によってスパッタ表面が常に酸化され、表面非平衡領域が消失していることを示しています。

補足:Surface SIMSでは表面から安定したSiの2次イオン強度が得られるので「正確なドーズ量(atoms/cm2)」が得られます。通常ダイナミックSIMSでは最表面の領域はSiの2次イオン強度が安定する前の領域ですので、定量的な評価が行われません。

■ 図1 Surface SIMS.XPによるベアSi表面のAl汚染プロファイル

図1 Surface SIMS.XPによるベアSi表面のAl汚染プロファイル

分析事例2:プロセス工程を経たSiウエハ表面のAl汚染の調査

図2はプロセス工程を経たSiウエハ表面のAl汚染を示したものです。Siの2次イオン強度分布(青色)はSiウエハ表面に薄い層が残留していることを示しています。Al汚染はSiウエハの最表面ではなく、残留層との界面に見られます。残留層直下のSiウエハ表面では、ダイナミックSIMSによるSiの2次イオン強度(緑色)の一時的な上昇がみられることから、酸化している状態が観察されます。このようなプロセス工程を経たウエハでは、Surface SIMS.XPによって正確で整合性のある汚染結果を得ることができます。

■ 図2 Surface SIMS.XPによるプロセス工程を経たSiウエハ表面のAl汚染プロファイル

図1 Surface SIMS.XPによるベアSi表面のAl汚染プロファイル

Surface SIMS.XPとTXRF、VPD-ICPMSの使分けについて

(1) 分析目的による分析手法の使分け

Surface SIMS.XP分析は深さ方向分析が可能で、検出下限はTXRF分析よりも1桁程度良い特長があります。Surface SIMS.XP分析の制約は通常1元素ずつ測定を行うため、未知の汚染の調査には不向きです。分析前に予め分析元素を決定しておく必要があります。

  TXRF分析 VPD-ICPMS分析 SIMS分析
Surface SIMS.XP 通常の分析
定性分析 × ×
マッピング分析 × ×
非破壊で分析 × ×
深さ方向分析 × ×
重金属元素の検出下限
(atoms/cm2)
E9~E10 E7~E9程度
(ウエハサイズに依存)
E8~E9
(単位はatoms/cm3)

(2) 汚染の深さ位置による分析手法の使分け

ウエハ最表面に存在する汚染の調査には、TXRF分析、VPD-ICPMS分析およびSurface SIMS.XP分析が適しています。表面~100nm程度に存在している汚染に対しては、Surface SIMS.XP分析が適しています。

  TXRF分析 VPD-ICPMS分析 SIMS分析
Surface SIMS.XP 通常の分析
ウエハ最表面の汚染
(表面~5nm程度)
×
ウエハ表面近傍の汚染
(5nm程度~100nm程度)
ウエハ内部側
(100nmより内部側)
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